12月15日12月議会の最終日の討論から

 12月15日南知多町12月議会の本会議が開かれ、内田保は、反対討論・賛成討論をしました。その内容をお知らせします。ご意見がありましたらお寄せください。

 

  議案48号「南知多町農業委員会の委員及び農地利用最適化推進委員の定数を定める条例」案について日本共産党内田保は、反対の立場から討論します。

 今回の条例改正は、国の法律の改正にともない、提出されているわけですが、南知多の農業の発展と、農民の声を反映させる点で大きな問題点をかかえるものです

以下5点の立場からこの制度・条例の問題を指摘します。

第一は

農業委員会組織の存立条件と存立意義を根底からかえるものです。

特に公選制をやめ任命制に移行し、委員の定数も半減されることによって地域の農業・農地管理に責任をもち、農民の負託に応えるべき農業委員会の弱体化が懸念されます。

 国は、「透明性を高めるため」に任命制に移行するなどとの説明をしています。とんでもないことです。戦後の農地改革は、戦前の地主制度の元、多くの農民が地主による搾取に苦しめられた小作制度を廃止しました。

農業委員会制度は、自立した農民の支援と農業振興を基本にこの農民代表による民主的組織による市町村長とは独立した行政組織として体制を整備しました。農地法制を地域で担う「農地の番人」とも称され、農民の直接選挙による選挙委員を母体にしました。

これまで、農業委員会選挙は公職選挙法に準拠し、農業委員会は市長村長から独立した地方自治法180条の5の行政委員会です。任期は3年でした。

農民による自主組織として地域農業と家族経営の維持・発展・農民の地位向上に寄与することを目的に設置された農業・農村の民主的機関が農業委員会です。選挙権・被選挙権は20歳以上の農民であれば男女の別なく平等にあたえられていました。

今回の任命制は、さらに農業委員の数を今までの13名から7名に半減させ、さらにその7名の内農家は半分にしてもよいとするこの制度は農家から

の直接の現場の声を一層反映させにくくするものです。

第二に

農業委員の透明性・公平性の担保の問題です。

次の様な声が聞かれます。

「選挙の方が、誰でも納得する人が選ばれる確率が高いのではないか。首長の任命では、癒着が起きやすいのではないか。」

 

「首長が任命することになると、激しい選挙で現職首長が落選したら、その人に任命されていた農業委員は辞職することになりかねず、限りなく政治的なポストになります。」

 今回任命制で、農業委員の内半数が認定農業者でよしとしているわけですが、中立委員も含めて農民以外の企業経営者等の入る余地が拡大され、農民の声を無視した極端な農地転用の押しつけや、農政の押しつけが引き起こされる懸念があります。町長の息のかかった親せきや縁戚、後援会関係者で町長の意向にかなった形になれば大きなトラブルの原因にもなりかねません。

第三に

議決権の差別の問題です。

 農業委員会の業務が、農地利用の最適化に集約・重点化されることによって、業務内容は国からの農政の推進・構造改革政策の推進に矮小化されることになります。「土地と人」を軸にした地域農業と家族農業の安定・発展のための独自の多様性あるとりくみができなくなる恐れがあります。格差はないとしておきながら、条例では、これまで13人で議決していた重要事項を7人ですることになります。国も同格としているなら、

議決権で差別している最適化推進委員6名も委員会の中で、議決権のある同じ委員として採用されるべきです。

第四に 

意見公表・行政庁への建議業務の縮小の懸念です。

 今までの法律にあった農業委員会としての主要業務に位置づけられていた農業や農民の地位向上などに向けた意見の公表や行政庁への建議の業務は法律から削除され、必要あるときに意見をいえばいいとする内容に後退させられたのも問題です。本来の農業委員会の業務が、国の下請け機関化を促進するものです。

 

第五に

 南知多町の事務の繁雑化の増大です。

 これまでは、市町村は行政委員会である農業委員会に対してまったく関与はありません。それは、行政委員会の独立性からして当然なことでした。農業委員は、選挙で選出され、定数を上回る候補者がいなければ無投票当選でした。それが、一転市町村が全面に出て、農業委員の推薦・募集から名簿の公表・選任までしなければならなくなります。

 農業委員の過半数を認定農業者にすることをクリアするためには、認定農業者の説得作業まで行うことになります。認定農業者は農業の担い手と位置づけられていますが、それだけに耕作面積も他の農業者より大きく、農作業に従事する時間も長い、公職につけば農作業に影響も出てくるのでその説得が大変になります。南知多町の担当課の今後のご苦労が懸念されます。

 

以上5点の理由から、議案第48号議案に反対します。検討をお願いするものです。

 

議案第49号「南知町町議会の議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例」に内田保は、反対の立場から討論に参加します。

 人事院勧告は地方公務員。国家公務員の賃金改定にあたって大事な基本的な勧告です。地方公務員にとっては、尊重すべき勧告です。

 特別職の私たち議員の期末手当勧告もなされたわけですが、一般職員勧告と同列に考えず、各市町村の実情と、特徴に合わせた具体的な施策がなされるべきです。

 だれしもお金が増えることは喜ばしいことで歓迎するのは当たり前です。とりわけ、他市町村と比べ南知多町はこの議員報酬だけで議員が家族をもち子どもを育て生きていけるだけの報酬ではありません。今年当選した山本議員のようにまだ若い方が議員をやってみようとする動機付けになるように、議員報酬を引き上げることは大きな課題です。

 しかし、今回の期末手当の引き上げは、町民の立場からみてどうでしょうか。一部の大企業は賃上げがありますが、南知多町の多くの中小企業では、最低賃金程度での給料で働いているのが実態です。農家で働く人、業魚で働く方もおそらく最低賃金程度・それ以下での賃金で働く方々も多いのではないでしょうか。南知多町では、今議員の期末手当を引き上げることには一般職員の方と違って、賛成できない町民の方も多いように思います。

 私たちの期末手当引き上げ分約18万(179700)円分は、子ども達、町民のために他の施策の財源をするために節約しませんか。賛同を呼びかけるものです。

以上で、議案第49号に対する反対討論を終わります。検討お願いします。

 

議案第50号「南知多町特別職の職員で常勤の者の給与及び旅費に関する条例の一部を改正する条例について」に反対する立場から討論に参加します。

 先の議案第49号の討論の中でも指摘しましたように、国の人事院勧告を尊重していくことはいうまでもありません。

 南知多町の特別職の町長さん、副町長さん、教育長さんの年間を通じた土日も含めた職務・ボランティア的な業務の過酷さは町長スケジュール等を確認するだけで分かります。3人の特別職のみなさんの日頃の努力に敬意を表するものです。

 しかし、みなさんの期末手当額の引き上げは南知多町の財政現状の特殊性と町民感情を見たときどうでしょうか。

 町長さんの期末手当総額は現在年間3百万6千円、副町長さんは235万、教育長さんは215万円となっています。一般的には、他の自治体特別職レベルと比べればみなさんの期末手当は極端に高いものになっていません。しかし、住民感情から見たとき、200万を超える期末手当を頂く方がどれだけありますでしょうか。これ以上引き上げることが妥当だと考える町民の方々がどれだけいるでしょうか。

 全国的な行政サービスの充実状況を見る指標である、この3年間平均の南知多町の財政力指数は、愛知県が発行している「市町村行財政のあらまし」の資料によれば0.53です。美浜町が0.71、武豊町0.99、阿久比町が0.82、東浦町0.95です。愛知県の54市町村の中でも一番困難な東栄町が0.18をはじめとして、設楽村0。24、豊根村0。25に次いで南知多町は4番目の財政力指数が低い町となっています。

 愛知県の多くの自治体は、0.8~飛島村の2.09の間の財政力です。南知多町の実態は、なんとか黒字財政は出しているものの全国的な行政サービスからは遅れている町であると言ってもいいのです。

今、南知多町のトップリーダーたる特別職のみなさんの適正な行政判断が求められていると考えます。子ども達、町民のために引き上げ分を節約しませんか。

以上で議案第50号に対する反対討論を終わります。検討お願いします。

 

議案第55号の「平成29年度南知多町一般会計補正予算(第4号)」に対する賛成の立場から討論に参加します。

今回の補正予算は、必要的経費にかかわる補正がほとんどであり、その内容にはおおかた賛成するものであります。

特に、今年から始めた子ども医療費無料化の施策では、積極的補正として今回新たに約670万円の補正がなされています。子ども医療費18歳までの無料化は全国的に先進的な取り組みです。町民の多くの方から喜ばれる声を多く聞いています。昨年より医療費が一定増額するのは、やむをえないものです。この制度の先進性をもっともっと宣伝して、南知多町に若い夫婦にきてもらう、そしてずっと住んでもらえるような制度に育てたいものです。合わせて今後3年間ばかりの具体的実施をみることで、様々な検証が必要に思います。

 補正予算内容をみていて、気になったことを1点指摘させていただきます。

 補正予算書P39教育費の総合体育館の維持管理費の中の需用費106万5千円の問題です。社会教育課の方にお聞きすると夏の空調施設が異常をきたしたので、調整運転のため7・8・9月頃の3ヶ月の一日30分の調整運転を業者から依頼されたために追加された燃料費・水光熱費分だそうです。ちなみに、2機の空調施設の新設費用はざっと少なく見積もって8280万円ばかりだそうです。とても今すぐにその取り替えはできないので今回の補正になったとのことでした。やむをえないことです。

 しかし、今後今年のような補正が毎年続くことは南知多町の財政の損失です。

直ちに、取り替え工事予算の設計が必要に思います。

総合体育館は、平成3年に開館しました。今年で26年以上になろうとしています。社会教育課にお聞きすると来年は約800万かけてまず、耐震調査及び設計をする予定になっているそうです。

実施計画では32年・33年を予定しているとのことです。しかし、あくまでも耐震計画とのことで、それを優先せざるを得ないとのことで、とても空調施設までまわらないとの見解でした。そこで、提案です。今年このような空調施設の不調が発覚し、今後もこのような

異常が体育館で発生することは町民への利用サービス提供に対しても問題が生じるものです。毎年の106万円の補正ももったいないものです。総合体育館の耐震調査及び設計計画の中において、すでに地震がくれば壊れる空調ですから、なんらかの工夫で設計の中に合わせて空調施設の新設も入れることができないかと提案するものです。検討お願いしたいものです。

これは体育館整備に関する緊急的な課題であると考えますので、来年度予算編成と合わせて検討をお願いするものです。

以上 議案55号補正予算の件に関する賛成討論を終わります。