「上限」では過労死は多発する

          「働かせ方」大改悪を許すな

 日本の労働時間は諸外国に比べて、昔も今も極めて長い。2016年のデーターでフルタイムの男性労働者を比較すると、日本は週53時間、ドイツ・フランスは38時間、アメリカ・イギリスは41時間です。週12時間~15時間も長い。日本の労働者は、諸外国の労働者に比べて3ヶ月も多く働いていることになります。

       時間規制の緩和で過労死多発に

 「働き方改革」一括法案の上限規制は、単月で100時間未満、2~6ヶ月の平均で月80時間です。休日労働を含めると年960時間まで認められます。

 11年~16年度で、過労死に関わる脳・心臓疾患(死亡事案以外を含む)の労災認定件数を見ると、残業が月80時間未満で118件

80時間~100時間で643件、合わせて月100時間未満は761件と、全体の約半数を占めます。

 法案の「上限規制」の水準は過労死をなくす基準どころか、過労死多発の時間帯です。

 そもそも労働基準法にいう労働時間は、「人たるに値する生活」を営むことを可能にする時間であるべきです。それが過労死ラインでよいのでしょうか。

 「人たるに値する」水準とは、スポーツや文化を楽しめる、社会活動に参加できるなど余暇や自由時間が欠かせません。過労死の根絶は急務ですが、「過労死をなくせばいい」ということでは過労死すらなくせません。「週40時間、1日8時間」に、いかに近づけるか、真剣に考える必要があります。法案の「上限規制」なるものjは、規制の名をかりた規制緩和です。(赤旗記事 森岡 孝二さん)