小中学校の少人数学級(35人以下)は緊急の課題

       安倍政権でストップしている少人数学級への移行

少人数学級は、保護者、教育関係者、国民の長年にわたる教育要求です。ところが安倍政権のもとで35人学級への移行が止まっています。

 

 35人学級は2011年3月、自民党も含めた全会一致で法律にもりこまれたものです(義務教育標準法改正)。小学校1年を35人学級にすることにし、附則で小学校2年以降も順次改定を検討・実施すると定めたのです。その翌年の2012年度予算では小学校2年を35人学級にするだけの予算もつきました。その後小学校3年、4年、5年というように35人学級が順次すすむはずでした。

 ところが安倍政権となり、政府・財務省によって2013年も2014年も35人学級への動きが止められました。そればかりか2015年度予算編成では、「小学校1年も40人学級に戻せ」「教員をもっと減らせ」(財政制度等審議会)という議論が政府内でおき、文部科学省も35人学級推進の概算要求すら見送るという異常な事態におちいっているのです。現在は、法的には、小学校1年生が35人学級です。2年生も35人になっていますが、定数法で確定しているわけではありません。中学校では、1年生だけが35人になっていますが、これもそうです。

 日本共産党は全会一致で決めた35人学級の推進を行うべきだと安倍首相に国会でただしました。首相も2015223日の衆院予算委員会で「35人学級の実現にむけて努力をしていきたい」と答弁しています。

 

          少人数学級は国民の切実な教育要求であり、世界の流れです。

 学校では手厚いケアが必要な子どもが増え、学級崩壊や立ち歩き、トラブルの増加などさまざまな教育困難が広がっています。「40人という学級規模では学級経営が困難となっている」(中教審初等中等教育部会「提言」2010年)のです。また、少人数学級になれば勉強をていねいに見ることができ、子どもの発言や発表の機会も増えます。みんなで話し合いながら認識を深めていくなど学習のあり方も変わります。

 

 世界に目をむければ、欧米では1学級30人以下が当たり前です。韓国では35人、アメリカも30人、ドイツは、24人を学級編制を目標としています。OECDの平均は初等教育21.6人中等教育23.7人です。40人学級は日本だけです。まさに少人数学級は世界の流れです。

   

   WHOの世界保健機関もみんなの顔が見える、100人程度学校規模が一番子ども達の教育環境には良いとホームページに発表しています。

 

   こうした状況があるからこそ、少人数学級は日本PTA全国協議会、全国レベルの校長会や教頭会、教育委員会の協議会、さまざまな教職員組合が求める、文字通りの国民的な要求になっているのです。全国知事会も「中長期的な教職員定数改善計画」の早期策定を求めています。

 なお、財務省は「少人数学級に効果はない」といいますが、それは少人数学級の効果を示す世界と日本の多くのデータを正しくみない、たいへん乱暴な議論です。1人の教員が教える子どもの数が減れば、よりていねいに教えられることは誰が考えてもわかることです。それを否定するような姿勢はもうやめるべきです。     

 

 国の制度として小中学校を35人学級とし、年次計画で段階的に実施することを法律で定めます。この計画は、今後少子化により教職員が減ることを考えれば、わずかな予算で可能です。この計画に自治体独自の努力が重なれば、より早く35人学級を全面実施できます。

 政府は「財源がない」といいますが、大企業には1兆6000億円もの減税を行い、政党と政治を腐らせている政党助成金320億円を続け、1機100億円以上のオスプレイ、何機も購入し、1000億以上を超えるイージスアショアをいくつも購入するなど軍事予算を少し削れば、35人学級は、その気になればただちに実行できるはずです。戦争より、教育です。

 また、政府の意見募集では「望ましい学級規模」として30人以下をあげた保護者は約8割に及んでいます。日本共産党は、子どもの状況、豊かな学びを考えたとき将来的には30人、さらに20数人の規模をめざすべきだと考えます。

     少人数学級の実現は、教職員の「超多忙化」「非正規化」の解消をすすめるものです。 

 

 教職員は業務が増え続け、「過労死ラインで働いても授業準備や子どもと接する時間がとれない」という深刻な状態で苦しんでいます。また少人数学級への移行の見通しがないもとで都道府県等は教員の正規採用を手控え、非正規教員への依存が強まり、多くの教員が来年どうなるかわからない不安の中で働いています。愛知では、3割以上が臨時教員です。子どもの教育を考えてもこうした状態の解消は急務であり、少人数学級による定数増はそのための重要な保障となります。