自治体を再び 赤紙配達人にするな

 赤紙配達人ー。戦時中、役場の兵事係はそう呼ばれました。国民にとって戦場への入り口となった召集令状。それを持って家々を訪ねる役人は軍の代行人でした。

 

 当時の日本男子は、20才になると徴兵検査に。兵事係は戸籍簿に基づいて対象となる若者の名簿を個人ごとに作成。軍に提出することが義務づけられていました。徴兵制や国家総動員法のもと、市町村は天皇制政府や軍の手足となって住民を戦争に駆り立てたのです。

 

 その動員システムを、今の世によみがえらせようというのか。自衛隊員の募集について「6割以上の自治体が協力を拒否している」と発言した安倍首相。それを変えるためにも9条に自衛隊を書き込むことが必要だと、本音をあらわしました。

 

 「9条改憲の狙いの一つが、自治体から若者の名簿を強制的に召し上げることにあると自ら告白するものだ」。すかさず批判した共産党の志位委員長は、こんな恐ろしい道を許してはならないと。

 

 応じる義務など自治体にはないのに、自民党が国会議員を使って選挙区内の自治体に`圧力`をかけるよう求めていることもわかりました。首相発言の出所が極右団体の日本会議だったことも。防衛省・自衛隊が隊員募集に自治体動員を強めるなかでの動きです。

 

 紙一枚で若者を戦場に送り、死も伝えなければならなかった、つらい役目。焼却命令に背き書類や記録をひそかに保管していた兵事係もいました。「戦争を知るための証し。二度としてはいけない」。そう戒めを込めて。

                                (赤旗2/19 潮流より)