太陽光発電設備等に関わる適正なガイドラインの制定と 太陽光発電に関る条例の早期制定についての申し入れ

4月15日南知多町長に以下の内容を申し入れました。 

 

 

2019年 4月15日

南知多町 

町長 石黒 和彦様

関係部課長様

                日本共産党 町議会議員 

内田 保

 

太陽光発電設備等に関わる適正なガイドラインの制定と

太陽光発電に関る条例の早期制定についての申し入れ

南知多町のガイドライン制定に向けての努力に敬意を表します。

最近の南知多町における太陽光発電設備の設置は、驚くほどの多さです。中には、内海の樫木交差点付近にみられるように、その風景が異様に感じるものもあります。防災や環境・景観保全から問題があるのではないかという不安を、多くの地域住民が感じています。それは、昨年の台風の際、大量の土砂が併設の県道に流れ出して一方通行で一日かけて土砂を取り除いた事実からも明らかです。しかし、その後の防災処置は、バラスを土壌に置いたのみで、再び大量の大雨の時に土砂が県道に流れ出すことを防ぐ具体的な柵や防壁等はなされていません。

私は、太陽光発電設備の設置にすべて反対しているのではありません。再生可能エネルギーの推進には賛成です。将来的に原発をなくしていくためにもこの道が必要です。しかし、現在の太陽光発電設備の作られ方や作られる場所及びこれに対するお金の使われ方には問題が多いにあります。それまで快適な生活を営んでいた住民にとって、いきなり周りの空地に太陽光発電設備を設置されることは耐えがたいことであろうと思われます。太陽光発電設備は、街中であろうと貴重な自然環境の中であろうと、建築基準法等の規制なしに設置可能です。場所によっては、その形状や拡がりは住環境や自然環境の保全とは両立しがたいものとなります。

南知多町には、景観条例もなく、強制的な規制も不十分です。

このような太陽光発電設備が持つ問題点は、「太陽光発電事業の環境保全対策に関する自治体の取組事例集(環境省)」に示されており、FIT法改正と共に策定された「事業計画策定ガイドライン」は、まさにその対応策と言えます。

また設置者が、太陽光発電事業の持つ意義に基づき、採算度外視でやっているならば、少しは我慢のしようもありますが、国が、設置者にばらまく資金(電力の買取料金)を国民の電気料金に含めて徴収するという仕組みを作り、設置者はどこかの誰かが考え出した高利回りの収益が得られる投資先として、太陽光発電事業に飛びつくという構図も許されないものです。太陽光発電には現時点で国が描いた予定をはるかに超えて「投資家」が群がっており、これをこのままにして増やすことも問題です。

今回のFIT法改正が、太陽光発電備事業について、単なる設備認定から事業認定へと舵を取り、事業遂行の適正化を求めたのは、このような状況を踏まえたものであって、十分な理由があります。

FIT法とは・・・電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法

改正FIT法、施行規則及び国のガイドラインの要点

改正FIT法は、発電設備設置の認定申請があった場合「事業計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする」とし、「再生可能エネルギー発電事業の内容が経済産業省令で定める基準に適合するものであること」、「再生可能エネルギー発電事業が円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること」、「再生可能エネルギー発電設備が、安定的かつ効率的に再生可能エネルギー電気を発電することが可能であると見込まれるものとして経済産業省令で定める基準に適合すること」を求めています。

そして施行規則でこれらの要件について、「当該認定の申請に係る再生可能エネルギー発電事業を営むに当たって、関係法令(条例を含む)の規定を遵守するものであること」、「当該認定の申請に係る再生可能エネルギー発電設備について、当該設備に関する法令(条例を含む)の規定を遵守していること」、「当該認定の申請に係る再生可能エネルギー発電事業を円滑かつ確実に実施するために必要な関係法令(条例を含む)の規定を遵守するものであること」として,法令遵守の中に条例が含まれることを明記しています。

 

次にFIT法改正と共に策定された「事業計画策定ガイドライン」(2019年4月改訂)は,文中でその位置づけについて,「事業計画ガイドライン(太陽光発電)は、再生可能エネルギー発電事業者がFIT法及び施行規則に基づき遵守が求められる事項、及び法目的に沿った適切な事業実施のために推奨される事項について、それぞれの考え方を記載したものである。本ガイドラインで遵守を求めている事項に違反した場合には,認定基準に適合しないとみなされ、FIT法第12条(指導・助言)、第13条(改善命令)、第15条(認定の取消し)に規定する措置が講じられることがあることになっています。また、努力義務として記載されているものについても、それを怠っていると認められる場合にはFIT法第12条(指導・助言)等の対象となる可能性があるとしています。なお、事業計画ガイドラインはFIT法及び施行規則に基づいて再生可能エネルギー発電事業者に求める事項について記載したものであるため、再生可能エネルギー発電事業者の責任において,各法令及び条例の規定を確認すること」としています。

 

これらの関係を簡単にまとめれば、太陽光発電事業が法令や条例に違反した場合は,認定基準に適合しないとみなされ、指導・助言,改善命令,認定取消しの対象となること。(この限りで,事業者に強制力がある。)ガイドラインで「~すること」と記載されている事項は、FIT法及び施行規則による遵守事項なので、これに違反した場合には、に該当すること。ガイドラインで「努めること」と記載されている事項は、推奨事項であること。(ガイドラインは「それを実施せずに特に悪質な事業を行っていることが認められる場合には、指導・助言等の対象となる可能性がある」とするが実効性はないと思われる)、ガイドラインには,FIT法及び施行規則を除く他法令及び条例については,記載されていないこと。

 

問題は、ガイドラインの推奨事項「努めること」は,もっぱら制度設計の法令であるFIT法及び施行規則には規定されていないが、太陽光発電設備の安全性、その設置により侵害される生活環境、自然環境の保全及び景観の保全について、現時点での重要事項を網羅しています。しかし、残念ながらそのままでは推奨事項にとどまるので、目先の利益を追求する事業者はこれを遵守しないことが予想されます。

 

南知多町のガイドライン案の修正と今後の条例の早期制定に向けて

今回、南知多町が、この国の「事業計画策定ガイドライン」を参考に「南知多町のガイドライン案」を提示していることは、理にかなったものです。

しかし、南知多町には、他市町(静岡伊東市)のような太陽光発電設備等に関わる条例や半田市、東浦町のような景観条例もなく、このままのガイドラインでは町民が必要としている内容への強制力が弱いものであることは明らかです。特に、土地及び周辺環境の調査・土地の選定にあたっては、土砂災害の防止、土砂流出の防止、水害の防止、水資源の保護、植生の保護、希少野生動植物の個体及び生息・生育環境の保全、周辺の景観との調和などに配慮するとともに、反射光等による地域住民の住環境への影響がないように考慮することが必要です。これらの内容は、南知多町のガイドライン案にも一部指摘されていますが、法的強制力からすると弱いものです。早急に南知多町としての条例化することを強く求めるものです。条例化すれば、FIT法においても、関係法令として条例も遵守しなければならないことがうたわれています。

当面以下の4点の内容について申し入れます。

南知多町の「太陽光発電設備の設置等に関わるガイドライン案」に対するパブリックコメントとしても申し入れるものです。

 南知多町として防災・環境保全、景観保全から規制力の強い太陽光発電設備等に関わる「南知多町太陽光発電条例」を制定すること。(別紙条例案資料参照)

 

 「南知多町太陽光発電設備等に関するガイドライン(案)」に追加する内容について

A 「南知多町ガイドライン案」4条関係に以下の内容を追加すること。

 例文 (14)風圧力その他外力に対して耐久性に問題なく安全であるように設置 すること。

 

B 住民説明・同意・協定を明確にするガイドラインとするため、別紙「条例案」を参考に住民説明・同意・協定のための内容をもっと明確にする詳しいガイドライン条文を起こして追加制定すること。

 

例文 (別紙条例案から抜粋 以下条文参照)

第4章 説明会の開催と住民との協定等

(計画の周知等)

第11条 発電事業の計画を策定しようとする事業者(以下この章において「当該事業者」という。)は,速やかに法令,条例等により遵守すべき事項や必要な手続等を町に確認し,かつ近隣住民や当該行政区住民にその計画の概要を広報し,周知に努めなければならない。

(地域住民への説明会の開催)

第12条 当該事業者は,計画している発電事業の概要,防災,環境保全及び景観保全の対策,予定する工事内容,その他当該事業に関連する事項並びに町長に届け出た届出書Aの内容(以下「説明会における説明事項」という。)を地域住民に説明するための説明会を開催しなければならない。

2 当該事業者は,地域住民の出席ができるだけ容易である日時,場所を選択して説明会を開催しなければならない。開催する日は,届出書Aが当該行政区の区長に配布されてから少なくても30日を経過した後で,当該行政区の区長にその日時を告知してから15日を経過した後でなければならない。 

3 当該事業者は,説明会において,説明会における説明事項を説明した上,出席した地域住民の意見を充分に聴き,その質問に誠実に回答しなければならない。

4 当該事業者は,説明会の開催後,届出書Aについてその内容を変更した書面(以下「変更後書面」という。)を町長に提出することができる。町長は,提出が     あった場合,直ちにその内容を公開しなければならない。

(協定)

第13条 当該事業者が発電事業の計画を遂行しようとするときは,説明会やその他の機会における地域住民等の意見を聴き,当該行政区と,発電設備の設置,運用・管理に関する協定を締結するように努めなければならない。

2 前項の協定には,防災,環境保全及び景観保全に関する事項その他法令,条例等に定められた事項等について,当該事業者と当該行政区が合意した内容(事業地の場所や防災対策,水源の保護,発電設備の規模・構造・配置・運転時の安全確保策,柵塀等の設置とその構造・修景,工事内容等,災害時の対応,事業終了時発電設備の撤去とその費用の調達方法,廃棄物の処理等)を規定するほか,発電事業が譲渡された場合に承継する事業者が当該協定を履行すべき地位を承継すること等について,規定するものとする。

3 当該事業者は,締結した協定の内容を遵守しなければならない。

4 当該事業者は,協定を締結した場合,その協定の内容を町長に届け出なけれ ばならない。

(意見書の提出)

第14条 当該事業者は,町長に対し,開催した説明会の概要並びに当該事業者 がした説明会における説明事項に対する出席した地域住民の意見(法令,条例に適合するか否かに限られない。)及びこれに対する当該事業者の見解を書面に記載して提出しなければならない(以下「事業者意見書」という。)。町長は事業者意見書が提出されたときは,直ちにこれを公開しなければならない。当該事業者は,当該行政区と協定について協議中は,その提出を留保することができる。

2 事業者は,届出書BないしDについても,これに対する当該事業者の見解を 記載した事業者意見書を提出することができる。町長は事業者意見書が提出されたときは,直ちにこれを公開しなければならない。

3 地域住民は,町長に対し,説明会の概要並びに当該事業者の説明会における 説明事項及びこれに対する当該地域住民の意見(法令,条例に適合するか否かに限られない。変更後書面に対する意見も含む。)を書面に記載して提出することができる(以下「住民意見書」という。)。

4 地域住民は,届出書BないしDについても,これに対する当該地域住民の意 見を記載した住民意見書を提出することができる。

 

住民等の要請による説明会

第19条 事業者は,第12条による説明会のほか,市,当該行政区又は近隣住民からその事業内容に関する説明会を開催する旨の要請があったときは,本条による説明会を開催しなければならない。当該説明会において事業者は,届出書又は届出事項記載書の内容,その他当該事業に関連する事項について,地域住民に説明し,出席した地域住民の質問に答えなければならない。

2 事業者は,前項の要請があった場合は,各届出書又は届出事項記載書に関して,少なくて1回は,本条による説明会を開催しなければならない。

3 本条の説明会について事業者は,地域住民の出席ができるだけ容易である日時,場所を選択して説明会を開催しなければならない。開催する日は,前項の要請があった日から45日以内で,当該要請者に告知する日から15日を経過した後でなければならない。

 

C 事業者に事業終了時の解体撤去のための経費の積み立て義務について以下の条文を参考に新設し、挿入すること。

 

例文 (別紙条例案 6条から抜粋 )

6 当該事業者は,発電事業終了後の発電設備の撤去及びその処分費用を確保す るため,当該費用について定期的な積立て等の計画的な調達手段を講じなければならない。

 

 今回のガイドラインは、新設業者(個人)だけでなく、既設の業者(個人)へもすべてに周知すること。特に、現在でも柵・堀の未設置や標識の未設置設備については、厳しく周知・指導文書を発出すること。

また、防災上の安全が疑われる施設については、既設の施設業者(個人)に対しても町長は、指導文書を送付すること。

 

 

Ⅳ 観光も基幹産業である南知多として、半田市・東浦町に学び「南知多町景観条例」を制定すること。

以上