コロナ禍 米企業上位17社で前年より9兆円増額か

 広がる格差と貧困、医療・介護システムの切り捨て、ジェンダー不平等・・。新型コロナウイルスの世界的拡大(パンデミック)は、これまでの世界資本主義経済の問題点を露呈させました。そして今、グローバル経済は、世界大恐慌以来の深刻な経済危機に直面しています。

 多くの企業が巨額損失を余儀なくされているなか、巨大IT企業や巨大製薬企業などは、逆に利益を拡大しています。

 国際NGO(非政府組織)オックスファムが7月22日に公表した報告書によると、マイクロソフト、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フェイスブックなど米国企業上位25社のうち17社の2020年の利益は、前年よりも850億㌦(9兆円)増えると見込まれています。

 ところが、これらの利益は労働者には渡らず、医療従事者の待遇改善にも使われません。利益は株主に分配されるため、企業の株主の大部分を支配している富豪たちの手に渡るというのです。

 オックスファムは、株主の所有構造における偏りが利益の分配を大きくゆがめるという点に焦点をあてています。米国人の所得トップ10%が全企業株式の87%を所有しています。一方、所得下位50%の人々が所有する株式は1%にすぎません。トップ1%でみると米国の株式半数を超える52%を占めています。

 オックスファムの提言はユニークです。巨大企業がコロナの下で増加させている利益に対し課税を求めているのです。格差解消に取り組み、パンデミック後の経済と社会をよりよくするための公的資金を増加させることができるといいます。

 コロナ危機を如何に克服するのかー。示唆に富む提言です。  (赤旗8月11日日刊紙より)